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2009 07,02 |
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昔むかし、あるところで一匹のとうがらしが恋をいたしました。 とうがらしは迷うことのない性分でしたから、すぐさま相手のところへ駆けていって、このように提案しました。 「どうぞ僕のことを、あなたのお腹のいちばん底へ入れてください」 すると相手の男は困ってしまいました。とうがらしの気持ちが嬉しくなかったということはなく、むしろ無駄にはしないであげたいと感じていましたが、しかしそれは男にとって容易いことではありませんでした。 「私、からいものが苦手なんだよ」 彼は、舌をぴりぴりと痺れさせてしまう、とうがらしの悪癖を知っていました。けれどもそれはとうがらし自身にとっては、どうしようもない、捨て去ることのできない性質なのです。 それに、心配事はもうひとつありました。 「君のことを食べてしまったら、粉々になって、そのまま元には戻れなくなるんじゃないのかな」 とても美しいとうがらしが粉々になってしまうのだと思うと、ひどくかなしくなってしまうのでした。けれどもそれはとうがらし自身にとっては、どうしようもなく、望むべき幸福なのでした。 「そんなのは、いやだ……」 男はけっして、とうがらしの気持ちを押し返してやりたいのだとか、そのように考えているわけではありません。からいものを得意にはしていませんでしたが、ぴりぴりと痺れてしまうほどにからい、からいのだと解りきっているとうがらしのことを、それでも受け入れたいと思っていました。それでも一緒に在りたいのだと、それでも一緒に歩いていけるはずだと、心の底からそう思っていました。だからこそ困ってしまったり、心配したりをやめることができないのでした。どうしようかと、とうがらしの姿を見つめます。 とうがらしは、男に恋をいたしました。 そして男も、今ではとうがらしに恋をしていました。 「それでは、このようにしましょう」 黙っていたとうがらしが、男に向けて口を開きます。 「あなたは僕のことをその口の中へ入れて、それから噛まずに呑み込んでしまってください。そうすれば、からいということはない。粉々になってしまうこともない。僕はあなただけのとうがらしとして、僕であるまま、あなたと一緒にいることができるでしょう」 「本当に?」 「ただし、とがっていますから、あなたの中のやわらかな場所をちくちくと打ってしまうかもしれません。突然とても熱くなって、びっくりさせてしまうかもしれません」 「…………」 「僕であるままの僕と一緒に過ごしていただけるのなら、僕はこの身と魂にちかって、あなたのためにできることをやりましょう。あなたのためだけに、やりましょう。しかし、それでも僕はとうがらしです。だから、あなたに我慢をさせてしまいます。それでもいいのですか」 そうして、とうがらしの言葉が終わると、今度は男の方が黙ってしまいました。 男も、今ではとうがらしに恋をしていました。それだから彼は悩まなければいけませんでした。それは他でもない、彼自身の自由によって、とうがらしと一緒にいることか、さまざまな我慢をせずに済むことか、どちらかを選ばなくてはなりませんでした。 とうがらしも黙って、黙ったまま、男の差し出す答えを待ちました。男の向かい側に立って、いつまでだって待ち続けてやるつもりでした。 やがて。 昔むかし、あるところで一人の男が悲鳴をあげました。 「あつい! お腹、あっつい!」 そうして叫んでから、自分のお腹に向かって文句を言いました。 「ひどいよっ」 暫く待つと、男のお腹のいちばん底から呆れたような声がしてきます。 「少しは我慢してください。あなたのお腹の真ん中には、とうがらしが生きているんですから」 というよく解らない妄想をしたので、とりあえず書きなぐってみました…… 新しいアニメが始まったりする季節ですよね。うみねこのなく頃にも始まったとか! 現在、毎週1本だけアニメを見ていますが、新しいOPとEDがかっこよくて燃えたぎります。そして明日には10巻発売ですよね。更にマジで燃えたぎります。 PR |
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