2024 11,26 |
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2009 05,04 |
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その街には小さな菓子店がある。パティスリー深川と名のついたその店を、ふたりの男性店員が切り盛りしている。
店内には幾種かのケーキと、簡単な焼き菓子の類いが売られている。イートインはない。本当にささやかな規模でもって穏やかに保たれている店で、だからしてアルバイトの募集などもしていない。 黒髪の若い男性がパティシエを担当する。効率のいい仕事をして、時たまに表へ出てくることもある。そういった際にはもう一人の店員を相手にして何かを喋っていたり、接客の手伝いなどをしてやはり手際よく働いてみたりといった様子である。その涼しげな容姿が女性客からの人気を集め、淡々と無駄のない接客をしてくれるので利用しやすいと男性客からの人気をも集めていた。 焦げ茶の髪の、中年といったほどであろうか、やや小柄な男性が接客を担当する。どのような客に対しても親しげに語りかけ、どれが良いかと相談をされれば喜ばしげにアドバイスを返して世話をやいて見せる。調理の合間に表へ出てきた歳若い方の店員に、お客様に対して馴れ馴れしいですよ、と叱られていることもある。しかしながらその親しみに溢れた様子は女性客からの人気を集め、もう一方の店員とのやり取りが見ていて面白いというので男性客からの人気をも集めていた。 パティスリー深川には多々の常連客がある。しかしその内に、ふたりの店員がどのような縁あって繋がっているものか、その真実を把握している者はいない。お互いに名前で呼び合っているのだから親子ではない。まさか兄弟でもあるまい。ただ、だからといってもそれを追究しようとする者は今のところなく、小さな菓子店の日々はどこまでも穏やかなままに続いていく。 誰ひとりとして知ることはない。自慢のケーキや焼き菓子を彩る腕の持ち主、歳若き店員であるところの黒髪の男性が、実のところは世界有数の資産家である河合家の跡取り息子であるのだということを。 誰ひとりとして知ることはない。自慢のケーキや焼き菓子の味を世界で一番によく知り尽くし、世へ送り出すことを幸いとする焦げ茶の髪の男性が、世間に名高き失踪中の作詞家であるのだということを。 誰ひとりとして知ることはない。彼らが親子でも親戚でもない、ただならぬ仲であるのだということを。 そして、誰ひとりとして知ることはない。 パティスリー深川の開店する数ヶ月前に、紆余曲折を経て『かけおち』を実行したふたりであるのだということを。 よもや、知っていようはずもなかった。 愛想以外は満点の何でもできる曽良くん(しかし問題児)と 愛想の良さ以外にはあんまりできることがないんだけれども、その愛想の良さこそが人を惹き付ける芭蕉さん(しかしこっちも問題児) そんな二人がひっそりと小さなお菓子屋さんを開いていて そのきっかけは駆け落ちであるという そんなパラレル…… 曽良くんは資産家のお坊ちゃんです。割と好き勝手に生きさせてもらってきて、お菓子作りやそこにまつわる資格も実は元々も趣味のうち。ところがそんな曽良くんのところにも、「いい歳だから」ということでお嬢様がたとのお見合いの話が舞い込んできてしまいます。しかし曽良くんにはお見合い結婚するつもりが一切なかった! 実のところ既に恋人(男性・だいぶ歳上で職業は作詞家)もいるのだった! そうして二人は駆け落ちに至るのでした。手に手を取り合って、というか曽良くんが芭蕉さんを引きずって……権力ある河合家から逃れに逃れ、どうにかして落ち着いた結果がパティスリー深川。尾花沢の皆さんなどが手助けをしてくれたかも解りません(清風さんが開店資金を貸してくれたりとか、素英くんがお客さんのふりをして連絡役になってくれたりとか、風流さんが河合家と懇意でありつつもこっそりと匿ってくれたりとか)。 ふたりはとても幸せですが、明日のことは解りません。明日には明日の風がふく。ところがそれが、どのような風であるのかまでは解らない。そもそも自分たちのやっていることが果たして正しいのかも解らない。曽良くんと芭蕉さんの明日はどっちだ。みたいななななな Mさんの地元にあるお菓子屋さんから派生して、そこからだいぶ長い旅をした(離れまくった)妄想がこんなことにっ……実際のお店はご夫婦とアルバイトの方とでやっていらっしゃって、とても可愛らしくって素敵な空間でした。そちらのお店でスパコミの差し入れを購入させていただいたのですが、サービスでラッピングまでしていただいてしまって……! ありがたい! そして余談なのですが、店頭のお誕生日のお客様リスト(お誕生日ケーキも作ってくださるんだそうです)の中になんと『そらくん』のお名前が……そらくんおめでとうございます……! PR |
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